依存症

音楽だけが、僕のことを殺し続けてくれる。鼓膜を叩くベースの低音が、僕の生を夜の表面に打ち付ける。ベースにギター、打ち込みのパーカッション、キーボード、ボーカル、コーラス、全く別の力に駆動されて蠢く全く違う音たちが、僕の耳に全部が全部一緒くたに雪崩込む。音たちは僕の脳内でぶつかり、縺れ合い、絶え間なく火花を散らして、僕の大事な大事な記憶を焼きながら、燃える。進んでいく。肺を凍らす冬の外気より、夏の夜の涼しい夜風より、雨音の静けさより、何より音楽が僕を殺す。発光する。音楽は終わらないし、僕は、何度でも殺される。僕の恋より、君の最低な一言より、音楽の暴力が一番綺麗で一番最高。引きずり回されたい。一拍、二拍、手に胸に、脳髄に、鋭い釘を打ち込み続けてほしい。太い杭を鈍く沈ませてほしい。僕は死ぬまで殺され続けたい。