white out

世界が雪に沈められていくのを僕はただ見ていた。白くなった街で、人々はうまく時間の中を進むことができなくなる。最近は君のことをよく思い出します。何かを失うことなど少しも想像しなかった頃の君と僕の上に降り積もる雪です。いくつもの公園のベンチに、カラオケのソファに、寄り道のホームに雪は降る。もう会えなくなった君も僕の中にずっと居て、白く霞んでゆく視界の中でいつまでも笑っている。失うことが前ほど怖くなくなってることに気づいて、また一つ湖が凍る。僕の今は雪にうずめられていつか忘れられていくためにあるんだろう、そんな諦念を抱くセンチメンタルな自分がなんだか許せない気分だ。早く、分厚く張った氷を割って。