0時。さっき二人で歩いた街路は、しっかりと雨に濡らされていて、でももう雨は降ってなかった。当たり前だけど、夕方には人出のあった街も、こんな時間になると誰もいないんだ。足音ひとつしない夜の商店街で、街灯の白い光だけがやけに煌々と灯っている。私…
平日の昼間の山手線に乗ると、窓の外を流れていく東京の景色たち。差し込んだ西日が窓枠の形に切り取られて床の上に日なたを作るのを見ている。世の中というものはあまりにも複雑で、乗り換えの駅ではいつも目眩がしそうになる。けれど、電車の中から見る世…
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