Entries from 2019-05-01 to 1 month

写真機

少し前の私にとってカメラは、すがりつく対象だった。 胸の中にあるもやもやとした気持ちを、言語化できない、するのも煩わしい。なるべく触れたくない。気持ちを直視したくない。 自分の内面に対峙し思考することを放棄してしまいたいぐらい余裕のない時、…

大人になれば

何のために生きているのか、わからなくなる夜がたまにある。 一ヶ月にいっぺんぐらい。 そういう時、私は高いところばかり見つめている、大抵。何かを成さねばならないとか、何か素敵なものを手に入れねばならないとか、凄い人にならなきゃいけないとか。 母…

二年越しの旅行記

高校三年生の夏休み、受験勉強真っ只中。スタディプラスをインストールし「質より量!」の勉強の沼にはまり、毎日勉強していた。ある日母に、「勉強ばかりじゃしんどいだろうから、熱海に一泊旅行でも行こうか」と提案され、夏休み終盤、家族で熱海旅行に出…

アルペジオ

今日、ただの気まぐれで、一人で都庁展望室に登った。夜。都庁に登ったのは初めてだった。202mか、東京タワーより低いし、大したことないかなと思っていた。202mは、高かった。そこから見る夜景は、横浜の観覧車から見るそれと同じか、もっと綺麗だった。眼…

残り香

宇多田ヒカルの「残り香」という曲の一節が凄く好きだ。「証明されていないものでも 信じてみようと思ったのは 知らない街の小さな夜が終わる頃」 最近の私の問いは専ら、「理性に生きるか、感情に生きるか」である。「現実に生きるか、夢に生きるか」と言い…

薔薇

スマホを見ながら駅のホームを歩いていた時、唐突に視界に入ってきた、地面に打ち捨てられた一輪の赤い薔薇を今でも時々思い出す。 どんな人がどんな人に贈ろうとしたのだろう。それとも、自分のためだけに買ったのだろうか。あの薔薇は、きっとぐしゃぐしゃ…