Entries from 2019-10-01 to 1 month

『明けない夜は、なかった』

ある夏休みの朝、目を覚ましたら、部屋の中はまだ暗かった。また変な時間に起きたのかなと思いスマホを点けると、液晶には「9:30」という数字が表示された。カーテンを開けると、窓の外は真っ暗闇だった。 太陽が昇らなくなってから一週間が経った。世界は、…

もう19歳ではない私が19歳展で考えたこと

もう19歳ではない私が19歳展で考えたこと。 知人の言葉をもとに手繰り寄せたことばの記録。 ──────────────────── 未来永劫この幸福な時が続いていくのだ、という、根拠の無い予感。 確かに触れている、手触りが、私を永遠の一瞬に閉じ込める。 おかしいな、…

先日知人が携わっている展覧会にて、過去に撮った写真や書いた言葉をそのままに展示してあるものを見た。彼女によって綴られた言葉の間をふわふわと漂っているうちに、過去の私がひょいと顔を出した。私が自覚的に物を書くようになったのはここ半年のことで…

日々の果て

「私は、どこへ向かってゆくのでしょうか。」 両手のひらに感じるのは生きた水だ。水はうねりながら私を運ぶ。どこへ運ばれているのかは分からない。水面に仰向けになった私の肌には、優しい日が降り注ぐ。あたたかい。私はもうこれから先ずっと、永遠に、こ…

読まれなかった恋文

十一月。憎いくらいに十一月だ。風は冷たくて、でもまだ私の肌を刺すことはしないでいる。半端な優しさ。透明で冴えた空気が肌に触れたら、私は私のからだも全部透明になって消えてしまうような気がして、服の袖を伸ばして指先を隠す。呼吸する度透明が肺に…

秋の夜長に

全てがいつか終わること。全ての関係性が、いつか何らかの形で別れを迎えるのだということ。だからこそ、今この時がかけがえがなく輝く、なんてことは分かってる。分かってるけど、怖いね。笑い声を、体温を、失いたくない。今年はやけに、鈴虫の声が聞こえ…

私の夜

私の知らない夜を想う。 騒々しいネオンサインで溢れかえる新宿駅東口。皆が皆知らないふりしてすれ違うスクランブル交差点。朱色の光に包まれて立つ東京タワー。恋人たちが囁き合うスカイツリーのてっぺん。道端のホームレスのうたた寝の中の夢。誰も居ない…

思い切り幸福な記事を書きたくて。

確かに手触りがあるということ。 何気なく見上げた空にうっすらと綿菓子を引き伸ばしたような秋の雲がかかっていること。 冷たい水を飲み干すとき、身体の隅々が澄み渡っていくような気がする。 教室の窓の外に、秋の陽光に触れてやわらかく煌めく緑が生い茂…