Entries from 2022-01-01 to 1 year

星空を抱く

ねえたとえば、満月見遣るタイミング重なることを友情として。友愛、親愛、憧憬と、ふたりで独りの痛快と。そうそう今は偶然の交差の上に立っている。見えている。確かである。31字、未満の素朴な瞬間が光って私をあたためている。もどかしい。うまく言えな…

雨やどり

ミスドに行きたい気持ち 夜の時間を手のひらに溜めてる レイン・オン・ザ・ルーフ 屋根を打つ雨音を思い出す 早く夏の雨が来るといい 早く夏の蒸し暑い夜が来るといい 夏にしか聞かないと決めてるあの歌を早く聞きたい レイン・オン・ザ・ルーフ 雨の車の中…

循環の岸辺から

春だ。めくるページにできた日だまりには、明るい黄色のワンピースを着た、光の精が棲んでいるような気がする。予報によれば、今日からは、あまり気温が下がらないらしい。 冬を脱ぎ捨てて春に向かう時間の流れは、汗ばむくらいの陽気と、わたしをつめたく閉…

落下する街

夜。機内の照明がゆっくりと暗くなり、代わりに青色の照明がだんだんと灯っていった。窓際の間接照明のオレンジ色が、機体の内壁をぼんやりと照らしている。青色に照らされた機内は、なんだか近未来の乗り物みたいだ。まるで宇宙船に乗ってるよう。そういえ…

white out

世界が雪に沈められていくのを僕はただ見ていた。白くなった街で、人々はうまく時間の中を進むことができなくなる。最近は君のことをよく思い出します。何かを失うことなど少しも想像しなかった頃の君と僕の上に降り積もる雪です。いくつもの公園のベンチに…

#tanka(2020.04.17〜2022.01.14)

世界が止まっても生きてる僕 許し合い舐め合うことの虚しさを感じずに済む逢わなくていい ざあざあとからだを包む雨音も遠のきて夜、まぶたがおりる 赤い靴宵闇の底に沈みけり光なしにはみな同じ黒 天国も地獄も見たいこの街で マスクを下げれば夜薫る “でも…