Entries from 2020-05-01 to 1 month

爆心地

東京は、朱い炎を中心にして、まわっている。 仲のいい男友達と、赤坂のラーメン店を出て、特に行くあてもなく夜の東京を歩いた。くだらない雑談をし、コンビニの前に座り込んで、プリンとスイートポテトを半分こした。自販機で缶コーヒーを買って飲みながら…

白昼の銀河鉄道

「おはよう」耳に心地よい低い声が、遠くから聞こえる。眩しい。薄く開けた瞼の向こう、柔らかな日差しがいっぱいに差し込む窓のそばに、幻みたいな君の姿が見える。「…おはよう。早起きだね」「いや、さっき起きたとこだよ。それに…時計見てみなよ」「……十…

Sid and the Daydream

彼。彼は、真っ黒なコートを着ていた。冬。冷たい雨の静かに降る日。私たちは駅の出口で待ち合わせをした。手にした本からふと顔を上げると、向こうから、黒いコートを着た彼が近づいてくる。透き通るように白い肌。雨に濡れたのか、その黒髪はわずかに湿っ…

Nocturne

彼と会うときは、いつも雨が降っていた。 新宿三丁目の小さな喫茶店を出て、通りを歩く。蒸し暑い空気の中、彼と一緒に都庁の展望台に向かっていた。昼下がりの空には今にも雨を降らしそうな灰色の雲が低く垂れ込めていて、雑踏には梅雨特有の閉塞感が漂う。…

ブログを始めて一年が経ちました。

70。 このブログに一年間で投稿した記事の数だ。この一年間でのアクセス数は約6000。ちまちまと書き留めてはちまちまとSNSで宣伝していたが、6000という数字を見ると、塵も積もれば山となるのだなと実感させられる。この一年の間に、ブログを覗きに来てくだ…

2020年春

世界が、薄い半透明の膜を通して、ぼんやりと見えている。 朝、重たい身体を布団から引きずり出して、ものを食べて、洗濯をし、本を読んで、スマホを触り、空腹に耐えかねてまたものを食べ、風呂に入り、またぐずぐずと意識を眠りに落とす。それを繰り返す。…

夕波まぎれ

砂嵐。不明瞭な輪郭を夢に見る。目覚めても目覚めても白い天井。ものを食べてからだを洗いぐずぐず意識を眠りに落とす。 やわらかい灯りが好きでした。私のこの手の中でいやに白く光る箱は、何を届けてくれますか。「正義」「平等」「偏見」「軽率」「生存」…