天国

君が出てくる夢を見た。けれどもう、何を話したのかも、どこにいたのかも覚えていない。ただ、とても穏やかであたたかな空気が私たちの間に流れていたということ、それはまるで、戦いの終わった後のような、すべてがゆるくほどかれていくような安堵に満ちていた。夜明けだった。厳冬を越えたようだった。もう大丈夫、もう何も心配することはない、もう何も終わらないから、もう誰も消え去ったりしないから。そんな気持ちだけを覚えている。あれは陽射しの色をした天国だったのだろうか。夢から覚めても終わらないでほしい。大切な大切な全ての命が、尽きずにあればいい。思わずそう願ってしまう私は、どのような罪で裁かれるだろう。