シロツメクサ

道端の雑草でも、私は全然良かったんだ。

咲いた白い小さな花を、摘んだ夜の冷たい風、今でも時々思い出す。

街には星が散らばっていて、おあずけされてた幸福は、私を芯から震わせた。

小さな午後、小さな公園、風が吹き抜け葉がこすれ。

制服の袖を通るそよ風は、今度こそは本物の幸せでした。

花、いつか枯れることを、どこかではきっと分かってて、それでもなぜか、枯れるはずないと無邪気に信じていて。

追いかける背中、息切れ、暗い地下鉄のホーム、雨の夜の通学路。

それはそれは大好きだった、道端の小さな白い花が。

あんなに欲しいと願ったのに、まだ枯れてないその花を、私はそっと手放した。

さようならさようなら、ごめんなさい。

白い花びら水面に落ちて、ばらばらになって沈んでく。

深い深い青の海。コポコポ小さい泡がのぼる。

さようならさようなら、ごめんなさい。