私の眠れない夜が、誰かの眠れない夜に接続しないかな、とずっと一人で思い続けているけど、きっと繋がりはしない。たとえ接続したとしても、きっと私の輪郭も誰かの輪郭ももっと際立つ。混ざり合いはしない。どうやら私は、私の外側には出られないらしい。水蒸気が揺れる、波のように揺れて私の首元に降りてくる。決して掴めないけれども美しく揺らぐものを、私は私の内側から見つめて羨んでいる。そこに溶け合えないこと、分かっているけど、たまに夜、すごくすごく歯痒くて、無理に自分の輪郭を曲げてまで飛び込みたくなる。あなたの眠れない夜の話を聞かせて。できれば私と一緒に眠れない夜をひたすらに散歩してほしい。人をかたどる輪郭は、決して消えはしないとしても。雨の降る街路、水溜まりの中に橙色の灯りが溶けて落ちていくのを、羨ましく見ている。月のない夜。