ふかまる秋と
私、一人で幸せになりたかった。
誰にも寄りかかることなく、一人で考えて、感じて、楽しんで、色々なことに関心を持って。悲しいのも寂しいのも楽しいのも全部自分一人で引き受けて、自分一人で自分の世話をしたい。「あなたが居ないと生きていけない」なんて台詞、もう二度と口にせずに。
一人で色んな本を読んで、色んな映画を見て、色んなことを考えるのは楽しい。自分は今、自分の足でしっかり歩いてるなって思える。そんな風にして毎日を一歩一歩生きるのは、とても充実している。
これでいいんだ、これが私の目指していた日々だと思うのに、思うのに寂しいのはなんでですか。
人と一緒にいても、周りの人から切り離されてるように感じる時がある。誰かに自分の心のやわらかい部分に触れられそうになった時、いつも、"寄りかかってしまわないようにね" と言う声が聞こえる。だって、私は一人でも幸せに生きるんだから。
そうやって見えない壁を作ろうとしたら、このまま生きて行ったら、どこに辿り着くんだろうか。気づいたら、まわりに誰もいなくなっているのかもしれない。実際には他人と交流があったとしても、「切り離されてるように感じる」ことが常態化するのかもしれない。そう思ったらなんだか急に凄く怖くなった。それでも一人で強く幸せに生きることは、美しいことだろうか。正しいことだろうか。
誰かと心のやわらかい部分を包み合うような、寄りかかり合うような経験を、性懲りも無く欲してしまう時がある。
一人で強く美しく生きることと、もがきながら寄りかかりながら生きることの、どちらがより良いのだろう。もしかしたら人間、一人で強くなんて生きられないのかもしれない。弱る時はそれでも来るし、誰かに寄りかかりたくなることから逃げることは出来ないのかもしれない。
一人で強く生きてるつもりでも、凄く孤独な一瞬が必ずやって来て、私はその孤独をどうすることも出来なくて、いつもよりしっかりとイヤホンを耳に挿す。秋が深まっていくにつれて孤独も際立つのだと悟る。