冬晴れ

全てが白く冷たく固い。

教室の後ろ、窓側の席で開いた詩集のページの上に、窓から差す冬のかすかな光が落ちて広がる。刻まれた文字が、細かく震えている。ペットボトルの中の水を通った光が、白い机の上に落ちて揺れる。照明を落とした教室で、いっそう、冬の光の冷たさと、儚さを、感じていた。ひとりで。窓の外には銀杏の木が裸の枝を伸ばしている。定位置となったこの席で、秋、窓の外いっぱいに輝く銀杏の葉を見たことを思い出す。もう居ない。さようなら。目から涙がこぼれおちて、私は世界からこぼれおちて、どこへゆくのかわかりません。